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【ウバメガシ】剪定の基本を庭師が伝授


「ウバメガシ」という名前だけ聞くと、変わった名前の木ですが実はどんぐりの木の一種です。
知らず知らずのうちにウバメガシのドングリで遊んだことのある方も多のではないでしょうか。
ウバメガシは、関西から沖縄まではありふれた木であり、一般的な家庭でも生垣や庭木に使っている方も多くいますし、路木や公園で見かけることも多い植物です。
潮風や排気ガスなどにも強いため、小さくて堅い濃い緑色の葉は庭の生垣や庭木にもおすすめの樹木です。
もしウバメガシが自宅の庭にあるなら、見映えや木の健康のためにも剪定は必要不可欠ですが、ウバメガシの剪定はそう難しいものではありません。
この記事ではウバメガシの剪定方法から特徴や育て方、病気、枯れる原因などについてご紹介したいと思います。
ぜひご自身でウバメガシの剪定にチャレンジして立派な庭木に育ててください。


目次

ウバメガシの特徴

ウバメガシとは?

学名:Quercus phillyraeoides
別名:ウバメ、イマメガシ、ウマメガシ、バベ、姥目樫
若葉が褐色であることを、老女にみたてた名。
分類:ブナ科コナラ属 (常緑低木~亜高木)
原産・分布:本州(千葉県以西)太平洋側、四国、九州、沖縄。朝鮮(済州島)、中国。
用途:庭木、薪炭
”ブナ科””コナラ属”の常緑低木で、海岸などの風衝地に群生しています。ウバメガシは”姥目樫”と書きます。
クヌギやカシ(樫)の木の仲間で、潮風や排ガスにも強く丈夫なドングリの木の1つの種類です。
小型の葉が密に茂り、小枝を沢山張り巡らせる特徴を生かして丸く刈りこんだり、庭の生垣や庭木などの利用に植えられることが多いです。
また、備長炭の原料としても利用されています。
ウバメガシの葉は濃い緑色で、丸くて小さく厚みがあるのが特徴です。
葉に縁のギザギザがついており、若葉の時には薄い褐色の柔らかい毛が生えていますが、しばらく経つとつるっとした硬さのある葉になるのが特徴です。

ウバメガシの花

ウバメガシの花が咲く時期は4月~5月で、雄花と雌花に分かれています。

雄花には黄色い房状の小花が長く垂れ下がります。
雌花は枝の先端に付く“雌雄同株”で“雌雄異花”が特徴の樹木です

ウバメガシの実

ウバメガシは秋になると堅い皮におおわれた可愛い実が出来ますが、皆さんよくご存知のどんぐり(堅果)です。

長さは2㎝くらいの底部がすぼまった楕円形で、先端の部分に短い毛が生えています。

1年目はあまり成長すること無く小さなままで、2年目の秋にやっと大きく成長し成熟します。

帽子の部分は浅めのお椀形で麟片が重なっています。

ウバメガシで生垣を

ウバメガシはとても強い品種で、強めの剪定や、潮風、大気汚染にも耐えられ、葉が細かくて堅いのでがっちりした生垣を作ることが出来ます。

アーチ状に誘引することでオシャレな西洋風庭園にすることもできます。

あまり土壌を選ばずにお手入れも簡単な樹木ですので専門的な知識がなくても簡単に育てる事が出来ます。
しかし、日当たりだけは良い所を好みます。

ウバメガシの剪定方法

生垣でよく使われるウバメガシ。剪定は年2~3回

ウバメガシ(ウバメガシ、Quercus phillyraeoides)は、日本の庭園や生垣に広く利用される常緑樹で、その密な葉と耐久性から生垣として非常に適しています。ウバメガシの美しい形を保ち、健康に育てるためには、年に2~3回の定期的な剪定が必要です。適切な剪定により、樹木の形状を整えるだけでなく、風通しを改善し、病害虫の発生を防ぐことができます。

剪定の時期と目的
ウバメガシの剪定は、主に春と秋に行います。春の剪定は3月から4月にかけて行い、冬の間に伸びた新しい枝や不要な枝を取り除くことが主な目的です。この時期の剪定により、夏に向けて新しい芽がしっかりと成長し、生垣全体が均一で美しい状態に保たれます。秋の剪定は9月から10月にかけて行い、夏の成長期に伸びた枝を整え、冬に備えます。これにより、冬季に枝が乱れるのを防ぎ、全体の形を維持することができます。

剪定の方法
剪定を行う際には、まず不要な枝や枯れた枝を取り除くことから始めます。特に内側に向かって成長する枝や、他の枝と交差している枝は、風通しや光の当たり具合を悪くするため、優先的に取り除きます。生垣として利用する場合は、上部をやや狭く、下部を広くする台形状に整えるのが理想的です。これにより、全体に日光が均等に当たり、樹木全体が健康に育ちます。

剪定時には、少しずつ枝を切り進め、急激に深く切りすぎないように注意します。過度な剪定は樹木にストレスを与え、成長を阻害する原因となるため、適度な間隔で剪定を行うことが重要です。

剪定回数の調整
通常、年に2回の剪定が基本ですが、特に成長が早いウバメガシの場合、夏にも軽い剪定を追加することが推奨されます。6月から7月にかけて、全体のバランスを見ながら飛び出した枝や形を崩している部分を整えます。この夏の剪定は、あまり深く切り込まず、表面を整える程度にとどめることで、樹木にかかる負担を軽減します。

風通しと病害虫対策
ウバメガシの生垣は、密に葉が茂るため、風通しが悪くなると病害虫の発生リスクが高まります。定期的に内部の枝を間引いて風通しを良くし、葉がしっかり乾燥するようにすることで、うどんこ病やカイガラムシなどの病害虫の被害を予防できます。

これらのポイントを守り、適切に剪定を行うことで、ウバメガシの生垣を健康で美しく保つことができます。

ウバメガシ剪定の手順

ウバメガシの剪定で主に切り落とすべき枝は、

・枯れかけた枝(枯れ枝)

・幹に向かって伸びている枝(逆さ枝)

・真上に伸びる枝(徒長枝)

・胴から生える芽(胴吹き)

の4種類です。

まず、剪定バサミを使ってまっすぐに伸びた徒長枝や下向きに育った逆さ枝などを根元から剪定しておきます。
枯れ枝や胴吹きは見つけ次第剪定してしまいましょう。

うっすらと向こう側が見えるぐらい剪定することで風通しがよくなり、害虫の発生や病気の原因となるカビの発生を抑えることができます。また、風通しがよくなることで台風などの風害に強くなります。

骨格となる枝を残して“枯れ枝””徒長枝“”逆さ枝“などを剪定し、剪定後にかすかに向こうが透けて見えるくらいにしておくと、日当たりや風通しも良くなり、樹木にも良い影響を与え、見た目も美しくなります。

間引き剪定を終えた後仕上げとして樹冠を切りそろえて完了です。

ウバメガシは成長が遅いので他のカシ類に比べると手入れの回数は少なくて済みます。

見映えをよくするために全体の形を整える刈り込みは、不要な枝の剪定をした後で行います。
植物の刈り込み全般にいえることですが、先に完成後のイメージを想定してから切り揃えることが大切です。
こうすることで変にゆがんだ剪定になりにくいのです。

細枝などを切るための刈り込みバサミだけでは剪定は難しいので、先に太い枝を切ることもできる剪定バサミで形を整えてしまってから使うようにしましょう。

すでに大きく育っている場合は、刈り込みバサミではほとんど刃がたたないことも多いので、始めから剪定バサミで切り詰めてもよいかもしれません。

ウバメガシの育て方

植える場所
ウバメガシは日当たりの良い場所を好みますが、半日陰でも十分に育ちます。風通しの良い場所が最適で、特に生垣として利用する場合は、均等に日光が当たるように配置すると良いです。

土壌
水はけが良く、肥沃な土壌を好みます。特に酸性やアルカリ性を強く選ばないため、一般的な庭土で問題なく育てられますが、水はけが悪い場所では根腐れを起こしやすいため、砂利などで排水性を改善することが重要です。

水やり
ウバメガシは乾燥に比較的強いですが、植え付け直後や乾燥が続く時期には、定期的に水やりを行いましょう。特に夏場は、朝夕の涼しい時間帯に水をたっぷり与え、土が完全に乾かないようにします。

肥料
春と秋に、緩効性の肥料を与えると良いです。生垣として密に茂らせたい場合、肥料を適量与えることで成長を促進します。ただし、肥料を与えすぎると樹形が乱れる可能性があるため、適量を守ります。

剪定
ウバメガシの剪定は年に2~3回行います。春(3月~4月)と秋(9月~10月)に不要な枝や形を崩す枝を取り除き、全体のバランスを整えます。風通しを良くするために、内部の枝も適度に間引きます。

病害虫対策
ウバメガシは比較的病害虫に強いですが、うどんこ病やカイガラムシが発生することがあります。発見したら早めに対処し、定期的に剪定して風通しを良くすることで予防します。

以上のポイントを守ることで、ウバメガシを健康に育て、美しい生垣や庭木として長く楽しむことができます。

ウバメガシ手入れの注意点

ウバメガシを剪定するとき、葉を多く切り取ることで水分の蒸発を抑えることができます。
あまり根付いておらず水分不足に困っているのなら、このような方法でも対策することができます。

そしてウバメガシは温かい気候の植物で、日当たりのよい環境を好みます。寒さにはあまり強くありません。
日当たりの悪い場所にも耐性があるため育たないことはありませんが、元気よく成長させるには、日当たりのよいところに植えるのがよいでしょう。

冬場にウバメガシを剪定してしまうと木が弱る原因となってしまうので、冬場の剪定は避けたほうが賢明でしょう。

また、ウバメガシは備長炭という質のいい炭の材料に使われるほど、材質が密でとても硬い木です。

そのほか、植物の病気や害虫に注意が必要です。
ウバメガシは比較的病気にかかりにくい木ですが、それでも害を与える病気や害虫が存在します。もしも見かけたら早急に対処するようにしましょう。

ウバメガシが枯れる?

ウバメガシが枯れる原因には、病気や害虫、そして根がうまく根付いていない場合などが考えられます。

もしウバメガシの葉が枯れてきたら、“植え痛み”で細根が少なくなり、吸水が充分にできていないから枯れるのかもしれません。

対策としては、新しい根が生えて土に根が定着するまでの間、地上部の枝葉を剪定して、葉の数を減らす方法が考えられます。

病気

★てんぐ巣病にかかった部分はこぶ状になり成長が非常に悪くなります。
病気の原因は“カビ”や“ファイトプラズマ”という菌です。対策としては、こぶ状になった部分より幹の部分を切り取り、その枝を焼却処分にして下さい。

てんぐ巣病という病気の名前は、天狗の住家“天狗巣”の様だと言うことから名付けられました。
菌によって植物のホルモンバランスが崩れ、竹ぼうきのように細い枝がたくさん生えてきますが、まともに育たずにやがてその部分は枯れてしまいます。

★うどんこ病は葉や枝に着いた白い粉状のものがうどん粉のように見えるのでこの名前になりました。
この粉はカビの一種です。
葉に白い粉がついたような見た目になるため、比較的発見が容易な病気です。土の中にいる菌が風などで葉に付着して増殖したものが原因です。
菌が葉の養分を吸い取り、発育が悪くなってしまうので、葉が白くなっていたら葉を切り取ることで対処しましょう。対処して切り取った葉から菌がとぶことがあるので、その場で捨てずに焼却処分してください。

害虫

★蛾の一種のマイマイガで特にウバメガシに着くのは幼虫です。
4月頃に卵から孵化して幼虫が葉を食べ始めます。

マイマイガ
ドクガ科の蛾で、成虫ではなく幼虫のケムシが葉を食い荒らします。卵からたくさんの幼虫が生まれるため、マイマイガの卵には注意が必要です。

マイマイガの卵は土がついたようなもの(鱗毛)に覆われており発見は容易ですが、鱗毛にさえぎられて殺虫剤などがうまく効かないことがあります。硬いものやガムテープなどで卵ごと引き離し、捨ててしまいましょう。

卵から生まれたばかりなら殺虫剤の散布が有効となりますが、1㎝を超えるケムシになっていると長い毛に覆われ、殺虫剤を散布しただけではうまく駆除できないことがあります。素手で触ってしまうとかぶれてしまうことがあるので、箸などで一匹ずつ取り除いていくのが確実な方法です。

まとめ

ウバメガシの剪定は丈夫で成長が遅いため、剪定は比較的楽な部類です。
しかし、生垣に使われているウバメガシなどは、多くの人の目に留まります。周囲の邪魔にならないためにも、剪定や刈り切りはしっかりしておきたいところです。
ウバメガシの元気がないという方は、冬場に剪定してしまってはいませんでしょうか?
剪定時期に問題がなければ、うどんこ病やてんぐ巣病などの病気や害虫、また根付き方に気をつけてください。
切ってよい枝と悪い枝の判別は、初めての方は難しく感じるかもしれません。
もしご自身での剪定作業に取り組むことが難しいと感じる作業や、時間がかかったり面倒だと感じてしまったりする作業は、プロの剪定業者に依頼するのも上手にウバメガシを育てるコツです。
自分でできることは自分で、できないことだけをプロに任せる。このようにして、賢くウバメガシを育てましょう。
作業が難しい場合は、庭のプロ『三谷造園』までご相談ください。
綺麗な庭で皆様の暮らしが豊かになれば幸いです。

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